人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2007年 04月 13日
両極の首長選・夕張市と福島県矢祭町
統一地方選も15日には全国の市長・市議選(政令市除く)が告示されます。財政再建団体に転落した夕張市では,後藤健二市長の引退を受け新人7人が立候補を予定しており,11日夜には公開討論会もおこなわれたようです。

しかし,もともとの夕張在住・出身者は3人だけで本命は見当たらず,最多得票者が有効投票の4分の1以上を獲得できなければ,再選挙となり,それも現実味を帯びているようです。この場合,再選挙の費用約1000万円は当然予算化されておらず,予備費もゼロのため,市も困惑しているようです。

茨城県との県境にある福島県矢祭町では,6期24年つとめた根本良一町長が引退を表明していますが,昨日のまでのところ,町長立候補者はないようです。こちらは根本町長の存在が大きく,彼との対比をさけているようです。矢祭町と言えば,2001年に「合併をしない宣言」で有名になった町です。

以下は「合併をしない矢祭町宣言」からです。
序文で「国の目的は、小規模自治体をなくし、国家財政で大きな比重を占める交付金・補助金を削減し、国の財政再建に役立てようとする意図が明確であります」とし,6項目の宣言文の3項目目では次のように言います。

「矢祭町は地理的にも辺境にあり、合併のもたらすマイナス点である地域間格差をもろに受け、過疎化が更に進むことは間違いなく、そのような事態は避けねばならない」

私には卓見に思えます。実は根本町長は4期目を終える4年前にも引退を決意しました。その引退表明をすべく議場に向かおうとする町長を住民300人が押しかけて町長を室内に閉じこめ,引退撤回を求めました。

このときの模様を2004年11月18日の熊本日々新聞「人間元気紀行・福島編」は以下のようにレポートしています。

…〇三年三月の定例議会最終日、引退声明の記事を見た町民三百人が押し掛け、町長室を占拠。「最後の晴れ舞台」に銀座で新調したスーツで出勤、家族も赤飯を炊いて送り出した根本は議場に入れない。「女の人が泣き泣き、背広やズボンをギュッとつかんで押さえちゃうんです。あれは人間バリケードかな」と助役の古張。ついに根本は鼻水を垂らし涙声で「行くところまで行く」と引退を撤回。傍聴席はバンザイの嵐となった。

昨日の「スーパーモーニング」のインタビューでは,根本町長の引退の決意は変わらないようです。乱立が予想される夕張市と立候補者ゼロが予想される矢祭町。私には地方自治というよりも「行政とは何か」を考えさせられる両極です。

矢祭町については,2005年7月8日の神戸新聞もレポートしています。

by gakis-room | 2007-04-13 09:59 | つれづれに | Comments(3)
Commented by saheizi-inokori at 2007-04-14 09:50
行政とは何か、でありリーダーとは何かでもありますね。こういう人がいるのを知りませんでした。驚き、嬉しい驚きです。
Commented by saheizi-inokori at 2007-04-14 09:56
この記事をリンクさせていただきます。
Commented by gakis-room at 2007-04-14 15:51
saheiziさん,「お詫びと涙の引退宣言」というものはよく見聞きしますが,「涙の続投宣言」というものを始めて知りました。まさしく,うれしい驚きです。リンクの内容が,「臨時にニース」とは気恥ずかしい思いです。


<< 学校給食制度の意味とは何だろうか      昨日は何もしなかった1日でしたが >>