2006年 08月 17日
産経新聞の朝刊(東京本社版の夕刊はないそうです)の1面の右下に「産經抄」というコラムがあります。朝日新聞で言えば「天声人語」,読売新聞で言えば「編集手帳」,毎日新聞で言えば「余録」にあたるものです。 多くの場合,朝日新聞と産経新聞はその論調が対極的であることが知られていますが,きょうの「産經抄」では朝日新聞を名指しで批判していました。しかも「中国への内通者」扱いです。以下はその部分です。 おがらを焚(た)いて迎えた精霊が、送り盆の朝に帰っていった。戦没者の追悼の意を込めて精霊流しをした地方もあった。ただ、静かであるべき今年のお盆はどこか騒がしい。入道雲や蝉(せみ)時雨までが、いつもの年とは違うような気さえする。 ▼九段の杜(もり)の「靖国」もそうで、小泉首相の15日参拝で大騒ぎだ。某紙の社説は「こんなにかまびすしい日になったのは、いつからだろうか」と問いかけた。その答えも用意してあって、「小泉首相の靖国神社参拝が一つのきっかけになっているのは間違いない」と非難する。 ▼これを小欄は詭弁(きべん)と呼ぶことにしている。「いつから」というなら、昭和60年の終戦記念日にまでさかのぼらねばならないことは某紙自身がよく知っている。火をつけたのは「某紙」こと朝日新聞だったからだ。このことを、いま一度いっておきたい。 ▼当時の中曽根首相が戦後40年の区切りに「公式参拝」をした。ところが朝日は、直前の7日付で靖国参拝を「中国が厳しい視線で凝視している」と書いた。これを人民日報が日本国内で反対が起きていると応じると、朝日がこだまのように「アジア人民傷つける」と呼応する。かくて、自虐報道が拡大再生産されていく。 「産經抄」の筆者は,中国が首相の靖国神社参拝を批判するようになったのは朝日新聞が火をつけたからだとしています。そして朝日新聞と中国が合作して「自虐報道が拡大再生産」されていると批判します。 さて,名指しで批判された朝日新聞はどうするのでしょうか。黙殺するのでしょうか,それとも明日にでも反論するのでしょうか。この喧嘩が成立すればおもしろいと私は密かに期待しています。 「産經抄」に対する私の感想は, 「『精霊流し』はお盆に呼び戻した冥界の精霊を,冥界に送り返す行事です。靖国神社に神として祀られている霊は,いつから靖国神社を離れて冥界に居るようになったのでしょうか」 というものです。 なお,昨年の8月15日に私が見た靖国神社は,産経新聞の昨日の主張(社説)の「国のために死んだ先祖の霊を慰める静かな杜であり続けてほしい」との願いに反して喧噪そのものでした。おそらくは1985年(昭和60年)以前からもそうであったように思われますが,私には確かめる術もありません。
by gakis-room
| 2006-08-17 17:43
| つれづれに
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Comments(2)
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Count_Basie_Band at 2006-08-19 10:48
今朝の朝日は天敵「読売」を褒めていますが、産経は無視。
「雑音」扱いですかな?
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gakis-room at 2006-08-19 11:15
「戦争とメディア 競って(戦争)責任を問うた夏」の見出しで,全国紙の読売,毎日,日経そしてNHKに触れながら産経は無視でした。末尾で「メディアが権力を監視し批判する使命を放棄したらどうなるか。この重い教訓を忘れないようにしたい」としていますから,産経は「この重い教訓」を忘れているとあてこすっているようにみえました。
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