2006年 07月 06日
北朝鮮のミサイル発射問題に関連して,日本政府は国連安全保障理事会に「北朝鮮制裁決議案」を提出しました。国連安保理での決議には常任理事国,非常任理事国15カ国中,常任理事国(米,英,仏,ロシア,中)全員を含む9カ国以上の賛成が必要ですから,日本提案に関して中国,ロシアが反対である意向が伝えられており,決議案が採択されるかどうかは,きょう現在は不明です。 日本提案の眼目は,提案の個々の内容にあるのではなく,全体を「国連憲章第7章に基づく」としているところにあるように,私には思われます。 第7章は国連憲章の39条〜51条に当たりますが,その中心は第39条,第41条,第42条です。日本の提案が採択されるということは,以下の内容が採択されたことになります。 ① 国連は今回の北朝鮮のミサイル発射は,39条の規定する「平和に対する脅威」であると認定(39条) ② 国連は,この「脅威」に対して,「国際の平和及び安全を維持し又は回復するために」,北朝鮮に対して軍事力の行使以外の「経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶」することができる(41条) ③ 上記では不十分な場合,国連は軍事力を行使する(42条) このように日本提案は,北朝鮮に対する単純な「制裁決議案」ではなく,最終的には軍事行動に至る決議案です。私には,マスメディアがなぜ,国連憲章第7章の紹介なり,解説記事を掲載しないのか不思議です。もし,この決議案が採択されれば,提案者の日本は対北朝鮮軍事行動の先頭で「旗を立てる」いうのでしょうか。 余談ですが,2003年,アメリカはイラクに対して第7章による制裁を考えましたが,フランスは拒否権の行使を明らかにしました。しかし,最終的には国連安保理でアメリカ提案は賛成少数で否決の見込みとなり,米英は国連とは無関係に軍事行動を開始しました。
by gakis-room
| 2006-07-06 23:45
| つれづれに
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Comments(2)
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高麗さん
at 2006-07-07 10:14
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制裁案は、先ず無いでしょうが、提案した日本は確実な敵国となるのでしょう。万が一の場合も、後方支援の名のもとに、済州、巨済、釜山辺りまでは、旗を立てに行く可能性は有るのでしょうね! それと、唯一の願望は、スカッドとノドンの精度を上げて欲しいことです。大阪を狙ったのが、若狭の原子力発所や奈良に落ちないように! 数十年前の、朝鮮半島の人々は、今の我々の数十倍の懸念、苦渋を味わっていたのでしょうね!何れにしても、コントロールの効かない、軍部にだけは引きずり回されないように、祈るのみです。
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gakis-room at 2006-07-08 06:01
マスコミを含めての過剰反応にうんざりしています。ミサイル実験は「着弾」なのでしょうか。私の理解では「ロケットの実験」ですから「落下」ですよね。
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