2006年 02月 09日
秋篠宮妃の妊娠によって,男系,女系をめぐる皇室典範改正問題は一時棚上げ状態になりつつあります。私にとって,皇室典範改正問題への関心は,憲法との整合性だけであって,天皇が男系であろうと女系であろうと,そのことへの関心はありません。 ましてや「女系天皇は日本の文化的伝統にそぐわない…」という発言は,私には無知によるものでなければ,政治的プロパガンダのように思われます。現在の天皇家が第26代継体天皇にまで遡ることができることについては史学者とともに私には異論はありません。 しかし,日本の民衆の精神が天皇の存在と不可分になったのは,天皇の神格性とその権威の確立につとめた明治以降の百年余のことでしかありません。明治以前の民衆にとって,その生活の中では天皇は存在すらしていなかったと考えていいようです。 天皇の存在を意識した源頼朝以降の武家政権にとっても,次第にその権威は薄れ,徳川政権に至っては,「禁中並びに公家諸法度」にみられるように天皇家は支配の対象でした。 憲法と皇室典範の整合性とは,憲法の13条「すべて国民は個人として尊重される」と14条「法の下の平等」の原則および民法の相続の原則にしたがって皇室典範を改正することです。この意味で,その眼目は違いますが,有識者会議の結論に私は異論はありません。 また,その名称も国会の議決した法として「皇室法」と改めることです。明治憲法の発布にあたっての「告文」(神に申し上げる言葉を記した文書)では,「皇室典範及ビ憲法ヲ制定ス」とされています。私には,皇室典範とは,憲法下の議会の立法作用の及ばない天皇家の家内法としての名称のように思われます。
by gakis-room
| 2006-02-09 08:11
| つれづれに
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