2014年 05月 18日
紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さんや,おじいさんやおばあさん,子どもたち。彼らが乗る米国の船をいま私たちは守ることができない この議論は国民の皆さま一人ひとりに関わる現実的な問題であります。 集団的自衛権の行使の必要性を説いた安倍首相の言い分の1つです。表現の仕方も,用意されたパネルも嫌らしく情緒的ですが,それはともかくも,私なりに紛争地域を朝鮮半島として,「現実的」に考えてみました。 ① 邦人避難の方法 時間的に素早いのはチャーター機を仁川空港,金浦空港,金海(釜山)空港に飛ばすことですが,安倍首相はなぜか「船」と言っていますから,「船」で考えます。 ② この船はどこから,どんな「船」で出航するのでしょうか 港は仁川と釜山でしょうが,あるいはモッポ(木浦)もふくまれるかも知れません。 常識的には日韓間の定期便を「超法規的にチャーターして」利用するのが手っ取り早いように思われます。 現在の定期便は以下の3つです。 釜山〜下関 関釜フェリー(定員は480名と562名) 所用時間 約11時間 釜山〜福岡 カメリアライン(定員648名) 所用時間 約5時間30分 釜山〜福岡 JR九州高速船(定員200名) 所用時間 約3時間 関釜フェリーの所用時間が約11時間なのは夜行のため港の沖合で税関の朝の執務開始時間待ちのためで,実際はカメリアラインと同じような所用時間で運行できるように思われます。 しかし,安倍首相はなぜか「米国の船」といっていますが,パネルでは輸送艦となっています。とすればこの船は軍艦なのでしょうか。九州,沖縄あたりから兵員を輸送して,その帰りに避難する民間人を運ぶというのでしょうか。そうであれば,このことを安倍首相はどの様に「現実的」に考えているのでしょうか。それとも他のどんな「米国の船」なのでしょうか。 ③ 防護を必要とするのですから紛争は深刻な状態です 必要な防護は,パネルでは軍艦になっています。この防護船が佐世保を出港して韓国のどこかに到着するまでの時間ついては無視するとして,防護を必要とするということは,韓国軍とアメリカ軍は完全に制海権を掌握していないことになります。北朝鮮海軍にそれだけの戦闘能力があるというのでしょうか。また,航空機による攻撃,つまりは制空権の問題にしても同じです。 今朝の産経新聞で渡部昇一氏が「田母神戦争大学」(田母神俊雄・石井義哲著)への書評で,「今の中国の海軍や空軍は自衛隊からみると少しもおそろしいものではない,いわんやアメリカ軍においておや」と紹介しています。田母神俊雄氏は言わずと知れた元航空幕僚長・元空将です。石井義哲氏は北部航空方面隊司令部幕僚長・元空将補,ともに軍事の専門家です。2人に,アメリカ,韓国の海・空軍が制海権,制空権を危うくされる事態の可能性をお聞きしたくなりました。 ④ 紛争の深刻さはロケット砲,ミサイルによる韓国への奇襲攻撃です この場合,少なくともソウルを含む韓国北部は大混乱になるかもしれません。そんな時に,「お父さんやお母さんや,おじいさんやおばあさん,子どもたち」は仁川港,釜山港,木浦港までどの様な方法でたどりつくのでしょうか。そのような事態でも公共の交通機関は正常に運行されているとは考えているのでしょうか。 ⑤ おまけ アメリカ本土に向けて発射されたミサイルを自衛隊が撃墜する 日本の自衛隊の対ミサイルの実力は私には不明です。紛争前であれ,紛争中であれ,「アメリカ本土に向けてミサイルが発射される」という事態はどの程度の「現実性」があるのでしょうか。ただ,「何でもあり」というのであれば,その事態に無防備なアメリカ軍もあり,ということでしょうか。
by gakis-room
| 2014-05-18 18:00
| つれづれに
|
Comments(2)
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by
saheizi-inokori at 2014-05-18 21:59
まったくナンセンスな事例ですね。
しかもそれは集団的自衛権とは関係のないケース。 頭のおかしい連中の戯言と笑っていればいいのでもないのが問題ではありますが。
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by
gakis-room at 2014-05-19 08:21
saheiziさん,
何がなんでも集団的自衛権,いいえ,戦争ができる国にしたい? |
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