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2007年 02月 27日
人権をバターにたとえる愚かしさ・伊吹文科相の知性
伊吹文部科学相は25日,長崎県長与町で開かれた自民党長与支部大会で,「教育再生の現状と展望」と題して約600人を前に講演し,昨年12月に改正された教育基本法に触れて。同法の前文に「公共の精神を尊び」という文言が加わったことについて,以下のようにの述べたようです。※発言内容は各紙をとりまとめたものです。

…日本がこれまで個人の立場を重視しすぎた
…(人権をバターに例えて)バターは栄養がある大切な食べ物だが,毎日バターばかり食べていれば日本社会は『人権メタボリック症候群』になる
…権利と自由だけを振り回している社会はいずれだめになる

私の感想は「人権に無知な大臣だこと」につきます。近代国家は「個人に対する国家権力の干渉の排除」,言葉を換えれば基本的人権の擁護=自由の実現を目的として成立してきました。その限りにおいて,国民は国家に権力の行使を付託してきました。

ですからこそ,いつも国家権力はこの足かせを解いて自由に国民を支配したいとという誘惑に駆られてきました。この時の言い分が「権利には義務が伴う」というものでした。伊吹文科相のいう「権利と自由だけを振り回している社会はいずれだめになる」との所論も同じです。

しかし,義務はいつも権力によって「強制執行」されますが,権利・自由は権力によって侵害されることはあっても,「強制擁護」されることはまれです。ですからこそ,日本国憲法97条は次のように言います。

97条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は,人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって,これらの権利は過去幾多の試練に堪え,現在および将来の国民に対し,侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

さらに,憲法は12条で次のように言います。
12条  この憲法が保障する自由および権利は国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。

文科相は無知に加えて,その例えも愚かしいものです。主食のとりすぎならともかくも,副食でもなく,調味料のとりすぎを嘆くとは。同じ調味料であれば,せめて塩分過多を嘆くという基礎知識もないのですから。
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by gakis-room | 2007-02-27 09:59 | つれづれに | Trackback(2) | Comments(4)