2009年 07月 03日
「柳宗民の雑草ノオト」(ちくま学芸文庫)
d0006690_1114450.jpg著者の柳宗民(やなぎ むねたみ)氏は「あとがき」で次のように書いています。

農学的には,植えられた植物の栽培に支障を来す植物のことを雑草と云うらしい。ところが,一般には,名の解らぬ,美しくない草々をすべて雑草という言葉でくくってしまっているようだ。野の花でも,美しいものは雑草扱いされない。人間でも,美人だけか人間ではないし,人種が異なっても人権は平等である。

雑草という言葉は,差別的であるが,反面,庶民的な親近感がある。題名を『雑草ノオト』としたのも,美人も不美人も差別なく,私たちの身近に見られる草,と解釈していただきたいと思うからである。


「柳育種花園」を経営する著者の「雑草」への眼差し伺えます。たとえばヨウシュヤマゴボウについてこのように書いています。

雑草と云われるものは,はびこるとまさに雑草として厄介者になるが,いずれもよく見ると,どこか美しい姿を潜めているものだ。ヨウシュヤマゴボウも,その一つだろう。

とはいえ,園芸家らしい心の揺れの告白も人柄でしょうか。ハルジオンとヒメジョオンについてはこうです。

ハルジオンは花が咲くと,その花の優しさにどうも引き抜きがたく,心の中で「ごめんよ」と念じながら抜くが,残った根からやたら芽生え出てくると始末に負えず,憎さ百倍となる。ヒメジョオンの方は咲きだすと,「ちょっと可哀想かナ,という程度。

著者はかなりの野草を食しているようです。「雑草ノオト」は②もありますが,ともに春,夏,秋の3章構成で,60種の「雑草」を三品隆司氏のイラストが1ページ,柳宗民が関連する花を含めてその「思い」を3ページ綴るというスタイルになっています。

三品隆司氏のイラストは,カバーからもわるように,花だけでなくその全体像が描かれていますから,6月18日に書いた「日々のいろどり 花手帳」とともに,時折ページをめくる楽しみがあります。

※写真はクリックすると拡大します。
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by gakis-room | 2009-07-03 12:58 | 花の手帳 | Trackback | Comments(2)
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Commented by イネ at 2009-07-06 22:21 x
「日々のいろどり 花手帳」、買って時々眺めています。花が写真でなくて絵であるところがいいですね。
昔子供に買ってあげた福音館書店の「園芸図鑑」もなかなかいいです。少し似ています。
Commented by gakis-room at 2009-07-07 06:40
イネさん,
「日々のいろどり 花手帳」を買われたのですね。
「雑草ノオト」も観点は異なりますが,いいものです。


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