2008年 10月 12日
16人か15人か,2人か3人か,日本人か日本国籍か
今年のノーベル賞の受賞者について,マスコミはおおむね「日本人4人」,のべ16人としています。しかし,南部陽一郎シカゴ大学名誉教授の国籍はアメリカです。国籍を基準に考えれば,南部氏は「日系アメリカ人」で,今年の日本国籍受賞者は3人,のべ15人となります。

それで思い出すのは1936年のベルリン・オリンピックとペルーのフジモリ元大統領です。日本はこの大会のマラソンで1位と3位でした。1位は孫 基禎(ソン・ギジョン,そん きてい),3位は南 昇竜(ナム・スンニョン,なん しょうりゅう)でした。

言うまでもなく2人は韓国人です。しかし,朝鮮半島は日本の植民地時代でしたから,国籍は「日本」です。自らの意志でアメリカ国籍を取得した(日本の国籍法11条によれば,「自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」)南部氏と,意に反して日本国籍を強いられたというソン氏,ナム氏との違いはあまりにも大きなものですが,民族と国籍について考えてしまいます。

フジモリ元大統領はペルーと日本との二重国籍を持っています。国籍法に抵触するフジモリ氏の「日本国籍剥奪」は話題になったことはありません。不思議なことです。

折しも,自民党法務部会の国籍問題プロジェクトチーム(座長・河野太郎衆院議員)は10日,二重国籍を認めていない国籍法の改正の検討を始めたようです。国籍問題プロジェクトチームでは「正直者と有名人がバカを見る制度だ」(河野氏),「二重国籍を積極的に認めた方が日本人が世界に雄飛しやすい」(猪口邦子衆院議員)など改正論が根強いそうです。つまりは南部氏のノーベル賞受賞を「日系アメリカ人の受賞」ではなく,「日本国籍者の受賞」にしたいということでしょうか。

自民党の国籍問題プロジェクトチームは,今後,二重国籍の実態や問題点を洗い出していく方針だそうですが,日本が日本人の二重国籍を認めるのであれば,と同時に日本国籍を取得しようという外国人にも二重国籍を認めるのが道理です。

近い将来,二重国籍が認められるようになれば,この国は少しは開かれるようになって,人為的な所産でしかない「国籍」,したがって「国籍と民族の混同」から少しは自由になれるかも知れないと思ってみたりします。私にとって「日本人」とは,原日本人とその他の民族との「純粋雑種」ですから。

※これまでのオリンピックのマラソン優勝者は孫 基禎,高橋尚子,野口みずきの3人です。日本国籍としては3人,日本人としては2人です。
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きょうの入り日です。空はいつも広がっています。
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by gakis-room | 2008-10-12 18:43 | つれづれに | Trackback | Comments(4)
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Commented by saheizi-inokori at 2008-10-13 07:37
賛成です。
何か現実に不都合なことはあるのでしょうか。あまり考えたことのないテーマでした。
“幸せな“日本人だったのですね。
Commented by gakis-room at 2008-10-13 09:09
saheiziさん,
単に「国籍取得」という法手続を「帰化」と表現してしまうところに,私は違和感を感じています。
Commented by convenientF at 2008-10-13 10:29
saheizi-inokoriさんwrote:

>何か現実に不都合なことはあるのでしょうか。

国籍を置くそれぞfれの国について「権利」と「義務」が生ずるわけですし、その整理選択は容易ではないように思うのですが...

私は1945年8月15日前後数年間北海道にいたので「ロシア人」にされていたかもしれないわけであり、できるだけ考えたくない問題です。
Commented by gakis-room at 2008-10-13 17:32
CFさん,
成人の場合は,強いられる義務と言えば納税でしょうか。一部の国には兵役もあります。権利については,どこの国も主張しなければ放置されると思います。

ソ連時代であれば粛清の対象になっていたかも知れませんね。


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