2008年 05月 25日
「何もしない」のになぜ罪になるのか,裁判員を拒否したい・1
saheiziさんがブログ「梟通信〜ホンの戯言」で来年から始まる「裁判員制度」について,5月21日5月23日5月24日5月25日と連日,警告を発しておられます。それで,私も「裁判員制度」について考えてみました。

「私の行為」が法に触れた場合,法の善悪はともかくとして,法に触れた「私の行為」には何らかの罰則が科せられます。しかし,来年の5月21日から始まる「裁判員制度」では,「何もしないこと」を,すなわち「裁判員になることを拒否すること」を法に触れる行為として処罰の対象にしています。

その処罰は,厳密に言えば「10万円以下の過料」ですから,「過料」は罰金や科料と異なり,刑罰ではありません。しかし,私には,「過料」,「科料」,「罰金」の区別は容易ではなく,要するに「何もしない」ことによって裁判所から最高10万円をむしり取られることには変わりありません。

つまりは,裁判員になることは「国民の義務」と言うわけです。言うまでもなく,憲法には「国民の義務」と明記されている箇所が3箇所あります。

26条 2項「すべて国民は,…その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」
27条 1項「すべて国民は,勤労の権利を有し,義務を負う」
30条 「国民は,…納税の義務を負う」

憲法に明記されている国民の義務ですら,3つのうち,教育の義務と勤労の義務の2つは義務違反に何の罰測もありません。しかし,「裁判員制度」は違います。「過料」と言う名のお金をむしり取られる「国民の義務」をいつの間にかでっちあげられました。

10万円を惜しむ私は嫌々ながら裁判員になります。裁判員としての私には1日1万円以内の日当が払われます。宿泊を要する場合の宿泊費は1日8700円です。この金額が妥当かどうかはさておき,法は「労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと」などを理由として「不利益な取扱いをしてはならない」としていますが,不利益な取り扱いを受けたと私が感じても,その立証責任は私がしなければなりません。

半リタイヤの私にはさほどの影響はありませんが,現役の勤労者にとってはどうでしょうか。(続く)


【5月21日の記事への私のコメント】
とりあえずのメモです。
1.私は死刑廃止論者。理由は人知は万能ではなく誤審の可能性の上に立っている。従って死刑判決は人知の傲慢としか思えない。
2.私の理解では,裁判員制度は裁判に市民感覚を入れようと言うことだと思う。市民感覚を忘れた裁判官がリードする裁判員制度は,狡知としてしか私には思えない。
3.国民主権主義とは,立法,行政,司法を,国民がコントロールすることであると理解しているが,最高裁の裁判官への国民審査以外にその制度的保障はない。ここをどうするか,私には問題の所在の指摘以上には考えが及んでいない。

とまあ,こんなことを昨日のニュースを見ていて,考えてきましたが,まとまりませんでした。

【5月24日の記事に書いた私のコメント】
国民主権とは国民が司法権をもコントロールすることだと言うのが私の原則ですが,裁判員制度に胡散臭さを感ずるのは,次の3点です。
1.裁判に市民感覚をとりいれるといいながら,「市民感覚のない」裁判官が議論をリードする(に違いない)。それでいて,免責されるのは「市民感覚」のない裁判官である。汚いよね。
2.なぜ,地裁だけなのか。職務暦の長い,そして立身出世をした(?)した上級審判事は,より市民感覚から遠ざかってはいないか。
3.裁判官に「市民感覚」が欠如しているのであれば,裁判官にコンビニででも労働体験でもさせたらいい。もっとも,そうして労働体験をした裁判官が「市民感覚」を獲得するという保障は何もない。

裁判員制度は教員免許の更新制導入と同じように,リアリティのない空論だと思います。
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by gakis-room | 2008-05-25 19:34 | つれづれに | Trackback(1) | Comments(9)
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Tracked from 好都合な虚構 at 2008-05-26 15:48
タイトル : 国民の総意?      
この週末、体調が何となく爽やかだったからか、キーボードを叩きながら聴いている音楽を乗り越えて入ってくるTV音声も認識できた。 先に口火を切ったのが官房長官、次が総理大臣だった。 「後期医療者制度」を元に戻したら現役世代の負担が増える。「現役世代の皆さん、それでいいんですか」という呼び掛けだ。呼び掛けの相手はアイツらに決まっている。日本近代史にはまるで無知なくせに「高齢者=逃切世代」として“排除”したがっている連中だ。この場合の“排除”は“Judenevakuierung”を連想させる。 ...... more
Commented by saheizi-inokori at 2008-05-25 21:56
24日のコメントが特に正鵠を得ていると思います。
そして本当に市民の良識を信じるなら審議会のメンバーも抽選で選ぶべきだったと思います。
過料10万円というのも立法者の自信のなさを表すものかもしれません。
しかし、自民党は当然のことながら公明党、共産党、民主党のいずれも原則賛成のように見えます。
かつマスコミは完全に取り込まれているから枝葉についてはいろいろ書くでしょうが結局ガス抜き、推進側のように見えます。
今の司法制度が完全だとは思えませんが裁判員制度がその解決になるとは到底思えません。
Commented by gakis-room at 2008-05-26 09:32
saheiziさん,
裁判員への義務化と有罪・無罪の評決時に棄権をさせない,これが問題のように思われます。
Commented by maron415 at 2008-05-26 11:20
選挙は行かなくても罪にならないなあと…
裁判所には、託児所とか託老所ないよね(たぶん)

死刑は廃止したほうがいいと思います。
いくら仕事とはいえ、それを実際に執行する人がいるからもあるかと。
その前に、無期懲役を本当の無期懲役にしてほしいですがね。

↓のコメですがキュウリグサはよく見ますよ♪

Commented by saheizi-inokori at 2008-05-26 16:11
gakis-roomさん、貴方のような人は裁判員をナントカして回避するかもしれない。
でもこういうのを金を払ってでもやりたがる人も多い。
そういう人が刑を決める国って?
暗黒時代に後戻りではないですか。
Commented by gakis-room at 2008-05-26 18:20
マロンさん,
残念ながら,裁判所には託児所も託老所もないですね。
勝手に罰則付きの「国民の義務」をつくるなんて,こちらに頭に来ますね。
Commented by gakis-room at 2008-05-26 18:23
saheiziさん,
そうです,それが問題です。裁判員になることを名誉なことと勘違いしたり,「私が市民感覚」だと錯覚しているひとが少なからずいますから。
Commented by convenientF at 2008-05-27 14:35
論点とはまるで関係のないことですが

>「すべて国民は,…その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」

をまったく正反対に理解している人がいますね。
まず「モンスター親」と呼ばれる人たち、そすて「モンスター親」を叱責している人たちの中にも「義務教育は国の義務」と信じている人たちがいるのです。

そのような人々も裁判員?
Commented by gakis-room at 2008-05-27 19:59
CFさん,
もちろん,みんな憲法14条の「法の下の平等」にのっとって裁判員です。メデタシ,メデタシ。
Commented by at 2009-09-24 15:56 x
死刑廃止論者って、自分の家族が麻原や林マスミみたいなやり方で無残に殺されて、自分も命だけは助かったが重度な障害が残ったとしても彼らは殺さずしかも無関係な国民の血税一生食わせろと言うわけですよね?正直、生物としてどこか狂ってるとしか思えません。死刑になりたくなかったら身勝手な殺人しなければいいのに殺人した人は自分で死刑になってもいいと認めたようなもの。また、殺した時点で相手の人権を完全に奪っているのですから、少なくとも酌量の余地のないような身勝手な理由による殺人を犯した人はその時点で人権は放棄したとみなすべき。本来なら死刑以上の拷問を加えた上に死刑でも足りないくらい。また、何をしようが死刑にだけはならないと確定しているのなら凶悪犯罪の抑止力にもならない。一度殺してしまった人はよみがえりません。つまり、取り返しのつかない事をしたのなら責任とってもらうのが筋。私は、死刑廃止論者の方は優しいのではなく生物である事を放棄している人々だと思います。


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