2007年 12月 20日
1兆8000億円の実質追加歳出となる07年度補正予算案を政府はきょう閣議決定しました。その中に,「水田農業等緊急活性化関係 799億円」という項目があります。「緊急活性化」とは何のことなのか,少し興味を持ちました。 よくわかりませんが,どうも「転作に応じた農家への助成金の拡大」などを意味しているようです。つまりは,転作に応じた農家への助成金を増加して,その不満をなだめようというもののようです。言葉を換えて言えば,7月の参議院通常選挙の1人区での手痛い敗北を踏まえた地方対策費ということでしょうか。 この国の現在の農業政策の中核は「品目横断的経営安定対策」にあります。これは簡単に言えば以下のような政策です (1)安価な輸入農産物との価格競争のために値下げを余儀なくされた時の損失を補填 対象品目=小麦,大豆,でんぷん用馬鈴薯,てんさい (2)収入の変動による損失の9割を補填 対象品目=米,小麦,大豆,でんぷん用馬鈴薯,てんさい 農家の多くは(2)の適用をうけることになるのでしょうが,問題はこの適用を受ける条件です。耕地面積4ヘクタール(北海道は10ヘクタール)以下の農家は適用除外です。4ヘクタールといえば,200m×200mです。乱暴な言い方をすれば,「品目横断的経営安定対策」とは,中小零細農家の切り捨てということになります。 政府は中小零細農家を切り捨ててはいない証としての「水田農業等緊急活性化関係 799億円」なのでしょうか。しかし,農業での悪戦苦闘を激励するための補助金ではなく,「転作」,つまりは「農業をしないこと」への補助金ほどいかがわしいものはないように私には思われます。私には第2次,第3次産業における非正規労働者の増加,第1次差家業にあっては中小零細農の切り捨て,これが小泉政権以降,黄門様の印籠の紋所のように扱われてきた「改革」の内実のように思われてなりません。
by gakis-room
| 2007-12-20 21:25
| つれづれに
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Comments(8)
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高麗山
at 2007-12-20 22:59
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加藤紘一を始めとする、農政族の選挙対策が腹立たしい。
薬害患者や公害訴訟患者には極めて冷たい、施策! 分かりにくいアメリカ追随の石油補給と、それに絡む国会の会期延長を中止すれば、薬害患者の補償もスムーズに運びそうなものだが!!!
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一部の農家を除けば農業は今や「産業」ですらないようです。非正規労働者と農業を兼業していた「「兼業農家」も近年は「嫌業農家」になってきました。かつて「ばらまき補助金政策」でつなぎ止めていた農家も、支持基盤ではなくなったために「甘い汁」を吸わせる必要がなくなった。実に分り易い「政策変換」です。
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saheizi-inokori at 2007-12-21 10:44
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gakis-room at 2007-12-21 14:47
高麗山さん,
福田内閣の支持率急低落もむべなのかな,と思います。
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gakis-room at 2007-12-21 14:53
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gakis-room at 2007-12-21 14:57
saheiziさん,
食糧自給率はカロリー計算ですでに40%を切っています。そして食品産業の偽装の数々。UFO論議に興じる閣僚たち,どうなってしまっているのでしょうかねえ。
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gakis-room at 2007-12-21 19:21
YUKIさん,
農政のあるべき姿は私にはよくわかりませんが,農業の現状はこの国の政治の貧困を象徴するのひとつのように思われます。 |
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