2007年 06月 28日
産経新聞の中で浮いたままの産経新聞の記事・年金問題
一連の「年金問題」は依然として問題の全容が明らかになったとは思われません。さてさて,この先何が出てくるのか,あたかも「パンドラの箱」のようです。

問題の深刻さよりも支持率の低落振りにあわてて,安倍晋三首相,塩崎恭久官房長官,柳沢伯夫厚生労働相などのほか。厚労省事務次官と社保庁長官も,明日のボーナスを全額返納するとしています。

このパフォーマンス,しまりがないないことこの上ありません。ましてや,社保庁の1万7000人の全職員にも自主的に50%〜5%の返納を求め,さらには職員OBにも同じ程度の金額を国庫へ寄付するよう求めるに至っては,根源の責任を塗り隠す「一億総ざんげ」にも似た「目くらまし」を思い起こします。

1万7000人にとっては,ボーナスは紛れもなく生活給です。厚労省事務次官と社保庁長官を除けば,安倍首相以下大臣諸侯は生活給である歳費は全額温存され,+アルファーの部分の返納ですから,質が違います。組織の責任はひとえにトップが負うのが常識のはずです。

しかし,毎日新聞を除けばテレビ・新聞等のマスコミはおおむね1万7000人のボーナスの一部返納には肯定的です。その論拠の多くは「民間企業であれば…」という責任論のようですが,民間企業と社会保険庁との決定的な違いにはなぜかふれていません。

d0006690_190318.jpg産経新聞は26日に図のような記事を載せていました。それによると社会保険庁職員は固定された以下のような三層構造になっているようです。

【最上部】
30人ほどの厚生労働省から出向するキャリア組(国家公務員I種試験合格者)。おおむね2年交代で本省に戻るため,庁内では「お客さん」扱いされる。

【中間部】
社保庁採用のノンキャリア組。

【最下位部】
その下で実際に各地の社会保険事務所で年金の徴収や給付の裁定などを行う一般職員は都道府県単位の採用。

産経新聞は,次のように言います。
…この「三層構造」を超えた人事交流はほとんどなく、出世できるのは「最上階」のキャリア組だけ。「多少頑張っても出世できないため、職場環境や小さな権益に喜びを見いだすしかない」(社保庁勤務経験のある厚労省OB)という空気が組織のよどみを生む。逆に、出世コースに乗っているキャリア組は、年金の実務にはほとんど無知だ。
…さらに現場職員が平成11年度まで「地方事務官」という特殊な国家公務員だったことも、上下の意思疎通を欠く原因となった。「地方事務官」は給与は国費から支給されるのに、指揮系統は都道府県の知事部局のもとにあるという変則的な立場。国と地方のどちらも指示を出しづらく、イソップ童話になぞらえて「コウモリのような存在」(佐々木典夫元社会保険庁長官)ともいわれた。

…甘い労使慣行と三層構造。そんな歪(ゆが)んだ組織は、やがて国民から預かった巨額の年金保険料を年金以外の目的に使うようになっていく。(年金問題取材班)

民間企業ではこのような三層構造は皆無のように思われます。私には,産経新聞のこの記事は「年金問題」の根源の指摘であると思われるのですが,しかし,この記事は産経新聞の中でも浮いたままです。
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by gakis-room | 2007-06-28 19:02 | つれづれに | Comments(5)
Commented by 高麗山 at 2007-06-29 00:53 x
産経の社保庁の三層構造図、我々の身近な組織でも見られませんか?   例えば創業一族がトップを占める…
宗教の世界、興行界、一部新聞社等も…
Commented by gakis-room at 2007-06-29 09:04
高麗山さん,私の知る限りでは,新聞社にも本社採用と地方採用があるみたいです。地方採用の記者は,たとえば近畿地区内での移動しかないようです。しかし,社会保険庁のキャリアのように,現場のことは何も知らないという本社採用の記者はいないというところが決定的な違いですね。
Commented by saheizi-inokori at 2007-06-29 12:15
ご指摘の通りだと思います。高麗山さん、日本の民間は官に倣うことをもって尊っとしとしてきました。
したがって大企業も同じことです。企業内において然り、最近とみに目立つ丸投げ、下請け、との構造も同じことです。
大企業がそうするなら中小企業も、、。日本だけかと思いきやアメリカのやり方は世界規模の三層構造。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-06-29 16:43
珍しく(^^;)、高麗山さんと見解が一致しました。
saheizi-inokoriさんはやはりナマの社会をよくご存じ。

超大企業は、形式上は本社採用も地方採用も待遇均等と謳っており、実際に給与などはほぼ均等ですが機会は均等ではありません。原則として旧帝大卒は経営の中枢部で昇進して行き、最前線での切ったはったで血を流すのは地方大学や私学から入った連中です。
私は私学卒ですが超大企業ではなかったのでずっと国内勤務でした。しかし総合商社や大銀行に入った連中は入社二、三年後に外国へ放り出されました。クラス会で皆の顔が揃ったのは50代半ばです。
内戦やテロのまっただ中で暮らしてきたヤツがイッパイいます。そして世界的大企業で役員になったヤツはいません。
Commented by gakis-room at 2007-06-29 18:19
saheiziさん,Count_Basie_Bandさん,そういうことですか。ふん,ふんと納得しています。


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