2007年 06月 17日
「存在してはならない」文書
奈良市に航空自衛隊幹部候補生学校があります。そこに「展示室」があって,県内から徴集された人たちの遺品などが展示されています。その中に,「戦闘詳報」という粗末な印刷物の束があります。

日々の戦闘で,自軍の兵士の死亡は何人か,負傷は何人か,馬の損害はどれだけか,銃弾はどれだけ使用したか,敵の損害はいかほどか,すべて数字として記録されています。

奈良県出身者によって組織された連隊はいくつもあるそうですが,助川静二連隊長が率いる「38連隊」は1937年(昭和12年)の上海攻略戦に参加しており,その後北上して,12月14日には南京に入城しています。南京陥落は12月13日,翌日から6週間,南京城内外で掃討戦を行います。いわゆる「南京大虐殺」と呼ばれる事態が始まります。

しかし,年次別,日付順で並んでいる「戦闘詳報」には,38連隊が南京に入城した12月14日から2ヶ月半の記録がありません。抜け落ちています。続きは「昭和13年3月…」になっています。何故2ヶ月半の記録が抜け落ちているのでしょうか。

※以上の「38連隊の『戦闘詳報』」については,奈良県立大学講師の吉田智弥氏の「タガの外れた日本 (7)」によります。

私には,抜け落ちている部分が「存在してはならない」文書であったからのように思われます。何らかの意図によって敗戦後に抜き去られ,焼却されたとしか考えようがありません。いったい,どのような記録,文書,資料がどれだけ敗戦前後に焼却されたのでしょうか。

安倍首相は「従軍慰安婦については狭義の強制を証明する資料はない」と断言しています。また,14日付のワシントンポスト紙に自民党,民主党の国会議員44人,櫻井よしこ氏,屋山太郎氏らによって「旧日本軍によって強制的に従軍慰安婦にされたことを示す文書は見つかっていない」との「事実」と題した意見広告が出されました。

意見広告は,「客観的に認知された事実にによってのみ,正しい歴史認識が共有されるよう求める」と結んでいますが,焼却された文書つまりは「存在してはならない」文書などなかったかのようです。
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by gakis-room | 2007-06-17 07:13 | つれづれに | Trackback | Comments(13)
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Commented by Count_Basie_Band at 2007-06-17 07:55
古今東西、「wartime sex slaves」を伴わない戦争が存在した、という記録もこれまた存在しないのです。必ずいるのです。

日本を占領した米軍のためにも存在しました。警察の依頼を受けて開業したという証言を聞いています。
相当数の元slaveたちが生存しています。彼女たちが産んだ子どもたちの何人かはプロ野球で活躍しています。
今でも基地近辺には然るべき施設があるじゃありませんか。

>「旧日本軍によって強制的に従軍慰安婦にされたことを示す文書は見つかっていない」との「事実」と題した意見広告

国辱モノの世界史音痴。

>焼却された文書つまりは「存在してはならない」

年金納付記録も「存在してはならない」文書かな。
Commented by gakis-room at 2007-06-17 10:50
>国辱モノの世界史音痴
国辱モノ,ときましたか。「歴史音痴」を大金をはたいてアピールするおぞましさです。
Commented by saheizi-inokori at 2007-06-17 11:44
あったことをなかったことにする。人間の記憶はいい加減だから何度も何度もなかったと言っているとホントになかったように思えてくるから恐ろしいです。ましてそもそも記憶がない若い人たちがいるのだから。
Commented by saheizi-inokori at 2007-06-17 11:45
歴史を書き換えることを商売(シノギ)にしている人たちからすれば意見広告は投資かもしれませんね。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-06-17 12:50
>国辱モノ,ときましたか。

長年、反対側の「自虐史観」派だけが世界中でジョークのネタになってきたので「負けてなるモノか」と立ち上がった(^^;)。
Commented by maron415 at 2007-06-17 14:03
文書がなくても、口約束でも証拠といいますが、この場合はあてはまらないのかな?
↑の広告が、日本人みんなの意見ととられても困るなあとも思いました。
米にとったらこの理屈が通るほうがいいのかな?
だって、米って、される立場にたったことほとんどなくて(あるのかな?)、する立場ばかりじゃない?
Commented by gakis-room at 2007-06-17 14:04
saheiziさん,「真実とは不断の宣伝である」といったのはヒットラーでしたでしょうか。「真実の書き換えのため」であれば安い投資に間違いないでしょうね。
Commented by gakis-room at 2007-06-17 14:11
Count_Basie_Bandさん,私も彼らの史観へのネーミングを考えてみたことがあります。「捏造史観」,「思い上がり史観」,「とんでも史観」,「歴史ごっこ史観」…。どれも今ひとつでしたので中断したままです。
Commented by gakis-room at 2007-06-17 17:13
maron415さん,ワシントンポストの読者層はどううけとめているのでしょうか,嗤っていたりして。けれども,saheiziさんがおっしゃるように,繰り返されるとちょっと大変になりますね。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-06-19 14:16
>私も彼らの史観へのネーミングを考えてみたことがあります。

どうもピッタリ来るのが思い付きません。

私が不快に感じているのは、私の世代でも草深い農村で暮らしていた連中はこの種の史観を支持していることです。
東京大空襲も大阪大空襲も否定します。艦載機からの機銃の銃弾が私の横数十センチのところを走ったことも、私の家が瞬間にして消滅したことも「酔っぱらいの白昼夢」で片付けられます。

原爆投下は流石に否定しませんが、被害は「誇大」だと言います。

私は「イラクへ行け」と怒鳴りつけています。
Commented by gakis-room at 2007-06-19 18:09
Count_Basie_Bandさん,明治以降の皇国公民,神州不滅の教育の成果でしょうか。幸か不幸か,私はまだ左様な「爺様」と同席したことはありませんので。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-06-20 03:25
>幸か不幸か,私はまだ左様な「爺様」と同席したことはありませんので。

温厚な(ウソ)私でさえ、刃物に手を伸ばしたくなりますから「幸」ですよ。
Commented by gakis-room at 2007-06-20 06:14
Count_Basie_Bandさん,またしても口実ができました。我が「幸」を祝して,今夜も乾杯!!


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