2007年 05月 03日
自民党の「新憲法草案」を読んでみました・その1
過日,安倍首相は「現行憲法は占領下でGHQ(連合国軍総司令部)の素人により起草された」と決めつけ,それを改憲理由の1つにあげました。そこで,「素人」ではない「玄人」が起草したであろう自民党の改憲案(正式には「新憲法草案」)なるものをみてみたいと思いました。

自民党のホームページ(トップページ)を開けてみると,そこには「憲法改正」の文字はありませんでした。驚いたことに演説する安倍首相の横に大きな文字で「地域に活力」「成長で活力」が踊っています。これが目下の自民党のメインスローガンということでしょうか,まさか…。

上段のバーの1つの「政策」→「政策パンフレット」を開けてみると13番目に「憲法改正ポイント」があり,それをクリックすると「1 美しい日本語で書かれた前文に」など6項目の要点が書かれていました。しかし,改正案の全文はここにはありません。

トップページの下段に「お知らせ・発表資料」があり,カーソルを移動させると,17番目に「新憲法草案」がようやく顔を出しました。そこに全文がありました。その特徴は以下の4点でしょうか。
 1.現憲法が制定された1947年当時の法律的言い回しを2005年時の言い回しに代えている
 2.第2章(第9条)「戦争の放棄」が「安全保障」となり,「自衛軍の保持」を明記している
 3.基本的人権については環境権,プライバシー権を追加されているが,その制限は強化されている
 4.国会による憲法改正の発議は現行の3分の2以上から過半数となっている

ここまでは「美しい言葉」ではなく普通の日本語でかかれていることを除けば。私の想定内のことでした。逆に,興味深かったのは「素人が起草」した条文をそのまま引き継いでいるか,些末な部分を訂正しているだけの条文がやたらと多いことでした。

森元首相を委員長に国会議員だけでも73名を集めた「玄人」(?)集団の作品として,もう少し自前の言葉で語れないものか,と言うのが私の最初の感想です。「戦後レジームからの脱却」とは「自衛軍保持」の明記と基本的人権の抑制だけだとしたら,そのあまりの国語力の貧困,つまりは哲学の貧困に唖然としてしまいます。
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by gakis-room | 2007-05-03 18:45 | つれづれに | Trackback | Comments(2)
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Commented by saheizi-inokori at 2007-05-04 09:57
しかし、こういう粗雑なものでもまかり通るかも知れないと思うと情けないです。
現行憲法の背後には人類の歴史があると思います。押し付けだとすれば歴史からの必然だったかも知れないのに。
小手先で作ったものならばとっくに”改正”されていたと思います。
Commented by gakis-room at 2007-05-04 11:38
saheiziさん,私の言いたかったことを先に言われてしまいました。


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