2006年 11月 19日
ダメなものを更にダメにする・教育基本法改定案と文科省
私の場合,教育基本法の政府改定案がダメである理由ははっきりしています。それは以下の2点において改定案が「私事への国家の干渉を排除する」という近代法の自由の原則に反しているからです。

①追いかけ回して「愛」を強要する,それをストーカーという
「愛」はすぐれて私的なものです。ですからこそ,その内容はもとより形式も多様です。改定案が「伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛する…態度を養う」と言うとき,それはどのような内容と形式の「愛」をいうのでしょうか。

追いかけ回して,特定された形式と内容の「愛」を強要する,それをストーカーといいます。しかも「愛する…態度」については評価するというのですから,これはストーカー以上に悪質です。それを「美しい国」の「根幹」とする感性は醜いというより,むしろ悲惨です。

②家庭のあり方にまでちょっかいを出す
また,改定案は「父母その他の保護者は,子の教育について第一義的な責任を有する。生活のために必要な習慣を身に付けさせ,自立心を育成,心身の調和のとれた発達を図るように努める」ともいいます。「私」の家庭のありかについては「よけいなお世話」です。

という趣旨のことを私がブロクに書いたのは,4月15日の「国家が土足で入ってくる」でした。その後,私はもっと重要なことを忘れていたことに気づきました。それは改定案16条です。

(教育行政) 第16条
(1)教育は,不当な支配に服することなく,この法律および他の法律の定めるところにより行われるべきものであり,教育行政は,国と地方公共団体との適切な役割分担および相互の協力の下,公正かつ適正に行われなければならないこと。

ここでいう「他の法律」の中には,政府がその法的拘束性を主張する「指導要領」が含まれることは言うまでもありません。政府にとっては指導要領は擬似法です。この改定案が成立すれば,国会審議を必要としない「指導要領」の改定で,後はやりたい放題ということでしょうか。

「造物主はよいものとしてつくったのに,人間の手にかかるとダメになってしまう」と嘆いたのはルソーだったでしょうか。4年前に知り得たのに放置しておかれた履修漏れ,教育基本法に関わるタウンミーティングでのやらせ,全国に間違いをばらまく文科相のアピール。ダメなものが文科官僚にかかって更にダメになります。

さしあたって,今の私が確認しておくべきことは,近代国家が公教育において国民に要求することがあるとすれば,こどもの持つ教育権への保障と国家の最高法規である憲法の理念への共感だけのように思われます。
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by gakis-room | 2006-11-19 20:34 | つれづれに | Trackback(1) | Comments(6)
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Tracked from ライブドアブログアフィリ.. at 2006-11-22 17:58
タイトル : 履修漏れ10万人超え
どんどん増えていく履修漏れの人数だけど、ついに10万人超えちゃったのですね~・・・ 教育現場が元々よろしくないのは知ってますが、来るところまで来た感じですね。... more
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-19 21:48
「不当な支配」をしようとしているのは君たちだ!といいたいですね。
Commented by gakis-room at 2006-11-20 07:00
いろいろ説明はあっても,改定は詰まるところ「不当な支配」がねらいだと思っています。
Commented by YUKI-arch at 2006-11-20 07:31 x
ダメにダメを重ねるとどうなるのか。暗いですね。
Commented by keijin at 2006-11-20 18:57 x
教育を支配した国が愛国教育の肝心なところを見えないようにちょっとずつずらしていけば一億玉砕になりかねないですからね。
Commented by gakis-room at 2006-11-22 05:53
YUKIさん,数学の世界では−×2はプラスですが,こちらは悲惨が倍加します。暗さも一しおになりそうです。
Commented by gakis-room at 2006-11-22 05:59
keijinさん,はじめまして。北朝鮮に押し上げられて首相になってしまった人が,やけに張り切っているだけに,ン?が続く感じです。


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