2006年 10月 29日
高校世界史の履修漏れ
「高校世界史の履修漏れ」問題は,28日の朝日新聞によれば,41都道府県404校に広がっています。おそらくはさらに広がることだろう思われます。こうしたことの原因として,週休2日制による授業時間数の減少が上げられていますが,私には直接的な誘因は「教育におけるアクションプラン」の強引な作成にあるように思われます。

アクションプランについては文部科学省が2002年から押し進めている事業ですが,今回の発端になった富山県のある県立高校の2005年度のアクションプランでは,「進路指導」の「達成目標」では以下のようになっています。
①進路指導のための面接指導1・2年=5回以上,3年=8回以上
②大学受験出願時の満足度(第1志望)90%以上
③第1志望の合格率75%以上

「達成目標」が達成できたかどうかは,当然のこととしてその結果は県教育委員会に報告されることになり,学校評価,つまりは校長を頂点とする教員評価となります。したがって,学校現場は,この数値目標を達成するために効率的方法として,教育課程と授業を受験に特化します。平たく言えば,大学受験に不必要な授業は教育課程から意識的に排除します。

「履修漏れ」校の多くがいわゆる進学校であったされることも,公立校の1,2校や私学の突出ではなく,たとえば北海道(40校),岩手(36校),長野(31校),静岡(29校),福島(21校),島根(同)というようにいわば公立校に一般的に見られることはこうしたことが背景にあるように思われます。

そして,おそらくは当該教育委員会はこれを黙認してきたのではないでしょうか。
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by gakis-room | 2006-10-29 08:24 | つれづれに | Comments(11)
Commented by saheizi-inokori at 2006-10-29 16:46
教育委員会と学校とは人事交流があるはずですから当事者がいるはずです。
世界史も学ばないで大学に行くつもりになることが理解できません。
Commented by 高麗山 at 2006-10-29 23:49 x
カリキュラムに”絶対”は無いでしょうが、人を欺いたり、背信行為はいけません! ましてや,教育現場においては。彼の学校では、生徒が不正行為をした場合、処分をしたりしているのでしょうか?  更に、現場の関係者(含む、教育委員会)の保身行為であるのならば、許せない!
TVで観る限り、生徒自身も承知しているのが遣る瀬無い。
Commented by 高麗山 at 2006-10-30 00:04 x
《続》 安倍内閣は、教育基本法の改訂に積極的です、更なる管理強化、あるいは評価主義を押し進めれば、もっと大きな歪が生じるのではないでしょうか?思い遣られます!
Commented by YUKI-arch at 2006-10-30 20:14 x
世界史は好きな時間でしたから、
受験には無用と排除されているのは
心外な気持ちですね。
Commented by tokuro94 at 2006-10-31 14:41 x
こんにちは。履修漏れ問題には、率直な感想として何をいまさら、というふうに感じます。ただ、自分としても世界史Bを教えているので、「高校卒業資格」というものの重さを感じずにはいられません。
Commented by のり at 2006-10-31 19:37 x
履修問題もいじめの問題も相通ずるところが多くあります。一つひとつをとって、非難していますが、社会が弱肉強食社会・二極化社会になっているのに、そこはちっとも論議になっていない。歯がゆい思いです。
イギリスをまねているのか知りませんが、安倍さんがおもう教育改革を進めるとすれば、さらに問題が大きくなるのは、目に見えています。
あー!頭にくる!
Commented by gakis-room at 2006-10-31 21:58
saheizi-inokoriさん,ご指摘のように教育委員会と学校とは人事交流があります。両者は私には共犯のように思われます。
Commented by gakis-room at 2006-10-31 22:06
高麗山さん,「脱戦後レジーム」の第1弾が,教育基本法の改訂とバウチャー制度の導入でしょうか。その前に,いじめ問題で露呈された無能な「教育委員会の解体」があるかもしれませんね。
Commented by gakis-room at 2006-10-31 22:13
YUKI-archさん,「ゆとり教育」と大学入試のギャップはアクションプランさらにはバウチャー制の導入によってそのひずみはさらに拡大していきそうです。
Commented by gakis-room at 2006-10-31 22:17
tokuro94さん,「高校卒業資格」と言うよりも,教員にとって「教えることとは何か」を技術の問題に矮小化していることの方がより問題かもしれません。
Commented by gakis-room at 2006-10-31 22:22
のりさん,履修漏れ問題も,いじめ問題も,多発する部活での暴力問題もすべて共通問題のように思われます。それらはすべて「教育の哲学の貧困」さから来ているようです。そして,教育基本法の改定やバウチャー制度の導入は,「教育の哲学」すら無用と言っているように私には思われます。


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