2006年 07月 10日
日本への脅威を具体的に説明してほしい・北朝鮮のミサイル
日本提案の「北朝鮮制裁案」の取り扱いがどうなるか,今夜の国連安全保障理事会の動向が注目されますが,取り扱いの結果の如何に関係なく,日本は北朝鮮を「公然と敵視した」事実だけは残ります。このことが外交として適切であったかどうか疑問の残るところです。

7日の読売新聞(電子版)の世論調査によれば,政府の制裁措置については,国民の92%が賛成し,また,国連の制裁決議案についても90%の支持があるとのことです。私にはマスメディアのミスリードの結果のように思われてなりません。以下,私の疑問点です。

①ミサイル発射(実験)の意図はアメリカの金融制裁解除なのか
北朝鮮の今回の発射(実験)の意図は,アメリカによる金融制裁の解除をねらったもの,という点についてはマスメディアも政治家も識者の誰にも異論がないようです。であれば,それはアメリカと北朝鮮のチキンレースにも似た駆け引きです。それがなぜ日本への脅威に結びつくのか,この点についての説明を私は知りません。

スカッドなり,ノドンなりの存在自体が日本への脅威であるというのであれば,それは今回の発射(実験)と関係なく,以前から脅威は存在していたはずです。6者協議から北朝鮮が離れた時ならともかくも,なぜ,突然の制裁措置なのでしょうか。それも,論理的には軍事行動までを含む「国連憲章第7章」による制裁決議案なのでしょうか。

②なぜ,日本は金融制裁をしないのか
北朝鮮のミサイルの脅威を無化するのであれば,「半年間の万景峰(マンギョンボン)号の入港禁止など」という中途半端なパフォーマンスではなく,日本からの送金停止措置をなぜ真っ先にとらないのでしょうか。アメリカの金融制裁が北朝鮮にとって打撃であるとするなら,その打撃は格段に大きくなるはずです。

③「ミサイルの脅威」とは何なのか
ミサイルによる「核攻撃」の脅威を説く識者もいますが,これは単なる無知です。現在の北朝鮮には「核」はあったとしてもそれを核弾頭化する技術はないというのが通説です。北朝鮮が核弾頭を持つに至った時の「将来の脅威」のことを言うのであれば,それは「現在の脅威」ではありません。

「核」をもたないミサイルでも「脅威」は事実です。湾岸戦争の時,イラクはイスラエルに42日間の間に39発のミサイルを撃ち,230余名を殺害しました。政府の言う「脅威」はこのことをさしているのでしょうか。

また,ミサイルは日本のどこかへ落ちればいい,という性質のものではありません。7発のミサイルの正確な落下地点はどこなのでしょうか。7発がいずれも至近距離に落下したのであれば,その精度はかなり高いと思われます。なぜ,落下地点の詳細は公表されないのでしょうか。公表は何か軍事上の秘密にふれるのでしょうか。

テレビで見る限り,関東・東北地方がすっぽりはいる範囲を示されても,「乱れ撃ち」をおこなう技術はある,という以上には「脅威」は伝わって来ません。

私には,依然として「ミサイルの脅威」の具体像が見えてきません。むしろ,政府の言う「ミサイルの脅威」論は「日米安保条約」がなんら役だってはいない,という前提の基での立論のように見えてきます。
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by gakis-room | 2006-07-10 11:19 | つれづれに | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-11 11:39
あいつぐグロテスクな殺人事件報道の過熱、中国問題、朝鮮半島問題、死刑(にしなかった)判決、、なんだか理屈抜きに感情をあおって「何でも良いからやっちまえ」みたいな国民感情を作ろうとしている、と考えたらかんぐりすぎでしょうか?強力な治安体制・監視体制・力の行使を待ち望む空気!排外(アメリカだけは味方)気分の高まり。
Commented by gakis-room at 2006-07-11 13:03
私にも病的な感じがします。この国はますます「いやな感じ」になっていくみたいです。


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