2006年 06月 08日
現代日本語訳による読経のお通夜
d0006690_2302482.jpg言うまでもないことですが,現在,日本の仏教の経典は,古代インド語の原典を中国語(漢語)訳したものを使用しています。読経の時も日本語訳されたものではなく,中国語訳の経典をただ音読みしています。

したがって,葬儀のときの僧侶の読経は,私たちには意味不明な呪文のようにしか聞こえません。私の日本仏教への不満は「民にわかる言葉で読経せよ」につきます。

中国人の僧侶の読経を中国人が聞けば,私たちが古文の朗読を聞く程度には理解できるのでないか思ってきました。

であれば,葬儀の読経の折りに,現代語訳された経典を読経したらどうなるのだろうか,
「現代日本語訳経典の読経」は果たして葬儀に耐えうるのだろうか,ということをこれまで漠然と考えてきました。

昨日ときょう,名古屋でのあるお通夜と葬儀に参列しましたが,「現代日本語訳経典の読経」をはじめて経験しました。導師は静岡市の浄土宗海前院光蓮寺の住職でした。

祭壇の隅ではありましたが,写真の仏画が飾られ,参列者には「お通夜のお勤め」と題された冊子が配布されました。

その冊子の扉にも同じ仏画があり,「死出の旅路は徒歩(かち)にて行くに非ず 我が蓮台に乗らせたまえ」と阿弥陀仏は蓮台を傾けて衆生をすくおうとする,阿弥陀仏の慈悲の深さの説明が続きます。

冊子の中心は,もとより「南無阿弥陀仏」の真理性を説く「無量寿経」の阿弥陀の48の本願の現代語訳です。念仏を唱え,阿弥陀仏になぜもたれきるのか,の部分です。

1時間足らずの通夜でしたが,読経はすべて文語文調「現代日本語訳」でした。私にははじめての経験であり,緊張感がありました。この住職はすでに30年以上も前からこのような試みをしてきたとのことでした。

「私よりももっと大胆な試みをしているお寺も少なくありません」と聞かされて,理由もなく嬉しい気分になったのは,不思議です。ただ,残念なことに告別式には現代日本語訳の読経はありませんでした。
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by gakis-room | 2006-06-08 23:02 | つれづれに | Trackback | Comments(6)
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Commented by haruikuyoshi at 2006-06-08 23:33
詳しくはわかりませんが、禅宗系の宗派も漢文を書き下して呼んでいるところもあるそうですよ。阿弥陀経も浄土宗は呉音読み、天台宗は漢音読みでまた違ってたりします。
昔は日本人も漢文をスラスラ読めたんでしょう。
今はやはり現代語に訳すほうが、お坊さんと一緒に亡者を送る気持ちになれそうですね。
Commented by gakis-room at 2006-06-09 07:31
かつてルターは聖書のドイツ語訳を大量に配布して,聖書の内容を民に知らそうとしました。仏教でも,私が知らなかっただけでそうした試みがあるのですね。
Commented by YUKI-arch at 2006-06-09 17:34 x
南北朝時代の虎関師錬『元亨釈書』に、
日本にはお経の翻訳というものがなく、
お経を耳で聞いても意味が分からないのに、
分からないままにありがたいお経というだけで、
坊主は漢訳をそのまま棒読みしていると、指摘しておるそうです。
ひどいものですが、
サンスクリットから翻訳されるようになって、
すこしは改善の機運が現れてきた。
何百年かかって、
仏教界の現状がこうです・・。
Commented by gakis-room at 2006-06-10 08:27
YUKI-archさん,仏教というよりも僧侶批判が南北朝のころからあったということをはじめて知りました。多くの経典は現代日本語翻訳されていますが,問題は,僧侶がそれを読経にとりいれるかどうかでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2006-06-12 13:52
僧侶の役割も時代によって変化してきたのでしょうね。道鏡なんていましたし。ナムアミダブツとかナンミョウホーレンゲキョウとか、意味を教わったのは大人になってからですが意味を知ったとてあまり関係ないかも知れません。なにごとかはしらねどもなんとなく「ナンマイダブ」というとお祈りしているような気持ちになりました。
Commented by gakis-room at 2006-06-12 17:30
祈っている女性が,寺院であれば老婆で,教会であればうら若き乙女。こんな構図を仏教の僧侶にとってはどうでもいいことなのでしょうか。この国では,仏教は不当に貶められている,と私は思っています。


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