2006年 04月 15日
国家が土足で入ってくる・教育基本法改正与党案
教育基本法改正に向けた与党案がまとめられました。新聞で報道された要旨を見る限り,現行の教育基本法(補則を含めて全11条)が細分化され,新しい項目がたくさん付け加えられています。

注目されていた「愛国心」については,【教育の目標】という項目が新たに設けられ,「伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」としています。

私の感想は「国家権力に強いられた『愛』はどのようなものてであれ,不毛で痛ましい」というものです。なぜなら,「愛の証」としての具体的な行為を国家から強要されるからです。

また,「尊重」されるべき「伝統と文化」とは抽象的で意味不明です。意味不明なものに「愛」というこれまた意味不明な情念を強要するとは,これに関わった人たちの「日本語の貧困」,つまりはは思想的貧困に驚かされます。

驚くと言えば,本来国家が関与すべきでない私的領域をあからさまにいじくり回わそうとしている点です。改正与党案は【家庭教育】という項目を新たに設けて次のように言っています。
「父母その他の保護者は,子の教育について第一義的な責任を有する。生活のために必要な習慣を身に付けさせ,自立心を育成,心身の調和のとれた発達を図るように努める」

例の「小泉チルドレン」を対象とした与党の教育方針ならともかくも,家庭のあり方を国家があれこれ指図するということは,まさしく国家が土足で「私」の家に入ってくる,というものです。これに比べると,現行の教育基本法はつつましやかです。

教育基本法は第7条(社会教育)の1は
「家庭教育および勤労の場所その他社会において行われる教育は,国および地方公共団体によって奨励されなければならない」
としています。

ここには,国家は「私」を支援こそすれ,「国家による私事への干渉,介入を排除する」という近代民主主義の自由の原則が堅持されています。
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by gakis-room | 2006-04-15 05:30 | つれづれに | Trackback | Comments(4)
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Commented by saheizi-inokori at 2006-04-15 09:38
高校に入って応援練習というのがありました。全校生徒が校庭に整列、応援団が歌やら声援やらの練習を指導するのですが声の小さい生徒は前に出て一人でやらされる。一年坊主の私が「強制されて愛好心なんて生まれるものじゃなかろう」と生徒総会でいったら暫く校内を歩くと3年生にやじられましたよ。応援練習と教育とは違うでしょう。だからなおのこと危惧します。
Commented by gakis-room at 2006-04-16 10:08
私がいつも愛国心とか民族愛とかにうさんくささを感じるのは,ただ自分だけがそう思っているにすぎないものをあたかも普遍的であるかのように強弁する傲慢さを見てしまうからなのだと思います。しかも,その内容ときたらたいていはなにもないか,無条件の現状肯定が多いようです。
Commented by 高麗さん at 2006-04-16 22:13 x
……目出度くもあり、目出度くも無し。因みに私は、三日後です!あなたに倣ってもう少し勉強していきます。
Commented by gakis-room at 2006-04-17 10:26
「高麗さん」さん,お祝い?ありがとうございます。「あなたに倣って勉強する」なんてからかわないでください。


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