2013年 08月 23日
6年前に,奈良県出身者で組織された陸軍38連隊の「戦闘詳報」のうち,38連隊が南京に入城した1937年12月14日から2ヶ月半の記録が抜け落ちていることを「存在してはならない文書」として書きました。 1937年12月14日とは,その日からから6週間,南京城内外で日本軍による掃討戦が開始された日です。いわゆる「南京大虐殺」と呼ばれる事態の始まりです。 左はきょうの朝日新聞の夕刊です。1945年8月18日付けで宮内省大臣官房から省内の各部局長あてに出された「機密文書ノ焼却ノ件」と題する文書が宮内庁の宮内公文書館に残っていたと伝えています。 文書は,各部局が保管する文書類や,陸海軍などから同省に送られてきた文書類のうち,「機密ニ属シ破棄相当ト認ムベキモノ」を「原簿ト共ニ之ノ際全部焼却スルコト」と指示しています。陸海軍が戦争犯罪の追求を恐れて機密書類焼却したことは知られていますが,焼却を指示した公文書が見つかるのはきわめて珍しいとのことです。 戦争犯罪に結びつくような文書は場所を問わず「存在してはならない文書」です。「機密文書ノ焼却ノ件」が残されていたとは,担当者は相当なトンマですが,しかし,そのために「焼却指示」という貴重な事実を伝え残すことになりました。 昨日の読売新聞によると橋下日本維新の会共同代表(大阪市長)は,いわゆる従軍慰安婦問題について,日本軍や官憲が強制連行した事実を示す文書が見つかっていないことを改めて検証し,党として英文で海外に発信する必要性を強調したそうです。 「日本軍や官憲が強制連行した事実を示す文書」が見つからないは,38連隊の「戦闘詳報」のように「存在してはならない文書」として焼却されたからではないのでしょうか。 ※写真はクリックすると拡大します。
by gakis-room
| 2013-08-23 18:00
| つれづれに
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