2013年 05月 04日
産経新聞の意図的な作為?,96条論議
d0006690_16291390.jpg今朝の産経新聞の一面トップです。19カ国の憲法改正回数の表を掲げ,「各国は柔軟 日本国憲法は『世界最古』」の見出しのもとに,「…諸外国は状況に応じて柔軟に改正を図っている。1度も改正が図られていない日本国憲法は…未改正の成文憲法では世界最古の法典となっており,世界から取り残されつつある」としています。

この表に揚げられているアメリカは戦後だけでも7回の改正(修正)をしていますが,アメリカ憲法の改正(修正)手続きが日本より遙かに高いハードルであることを4月27日に「日本だけが憲法改正手続きのハードルが高いという嘘」として書きました。同じくドイツについても,見方によっては日本よりもハードルが高いとも言えます。

「世界最古の法典」として「世界から取り残されつつある」かどうかは「96条論議」の本質には何の関わりもありません。問題は,各国の場合はその改正手続きを述べることなく「憲法改正回数」をあげ,日本の場合にだけ「日本国憲法の改正手続きのハードルの高さ」を立論の仕方です。常々「正論」をもって任じる産経新聞が論理に無知であるのでないならば,意図的な作為を感じてしまいます。そして,この立論の仕方を産経新聞だけでなく,96条改憲論者の多くに共通しています。不思議なことです。

なお,「諸外国における戦後の憲法改正【第3 版】」では8カ国の実情をレポートしていますが,産経新聞の表と重なるオーストラリアとイタリアの改正手続きは以下の通りです。

【オーストラリア】
1 上下両院のどちらかで可決
2 国民投票で,全投票数の過半数を超え,かつ過半数の賛成のある州が全州の過半数を超えること

オーストラリアでは戦後,25回国民投票が行われ,23回否決されています。うち4回は全州の過半数を超えられなかったことによります。一院だけの賛成で国民投票に付すと言う点では日本より遙かにハードルは低いと言えますが,その国民投票は二重の過半数を必要とするところにオーストラリアの特徴があります

【イタリア】
1 3か月以上の間隔を置いた連続する2 回の審議における各議院の可決(なお、2 回目の表決は、各議院の  過半数という特別多数が要求される)
2 国会によるこの手続の後に、一議院の議員の5分の1あるいは50 万人の有権者又は5 つの州議会の要求がある場合は、憲法改正は国民投票に付され、有効投票の過半数より改正。国会の各議院の2 回目の表決で、3 分の2 の特別多数で憲法改正が可決された場合は、国民投票は行われない。

※写真はクリックすると拡大します。
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by gakis-room | 2013-05-04 18:00 | つれづれに | Comments(4)
Commented by korima at 2013-05-04 21:33 x
新聞でもテレビでも、言い換えでごまかしているような気がして
なりません。NHKニュースで、元アメリカ大使の発言を、ちゃんと
説明せずに「活発な議論が行われています」と言ってました。
ハギシリすることばかりです。
Commented by saheizi-inokori at 2013-05-04 21:48
腹がたつから産経をやめようと思うこともありますが、いよいよ、監視しなければならないですね。
機関紙ですから。
Commented by gakis-room at 2013-05-05 08:21
korimaさん,
確かに私たちに知らされないことが多すぎますね。
「消息筋」とか「関係者」って誰のことかいつも思います。
Commented by gakis-room at 2013-05-05 08:22
saheiziさん,
「腹が立つ」,たから購読をやめらない私(笑)。


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