2013年 05月 03日
自民党改憲案の是非だけを争点に解散・総選挙はできないのでしょうか
「憲法改正手続き」の緩和がなんだか現実味を帯びて来ました。憲法改正が制定以来1度もなかったことは事実ですが,それは「憲法改正手続き」のハードルが諸外国に比べて高すぎるから,というは嘘であることは4月27日に書きました。

「改正手続きの緩和化」などいう姑息なやり方ではなく,自民党の「憲法改正草案(2012年版)」の是非だけを唯一の争点に,解散・総選挙を行って,民意を問うことをしたらどうなんでしょうか。それで,3分の2を獲得し,現行憲法の手続きに従って「改正の発議」をすれば,充分に正統性を保持できます。そして,なによりも一切の改憲反対論を「民意に反するもの」として切り捨てることができます。

なにせ,現憲法下の戦後史を虚構として否定して「日本を取り戻す」ためという改憲というのですから。

改憲派の主眼が,天皇の元首化,国防軍の明文化,国民の権利の制限(現行憲法のように「公共の福祉」を理由とするのではなく「公益と公の秩序」を理由として)にあることはよく知られたことですが,自民党の「憲法改正草案(2012年版)」では,治安維持のための具体の出動,軍法会議,戒厳令まで想定されています。

以下,「治安維持のための軍隊の出動」,「軍法会議」と「戒厳令」関連の条文を揚げておきます。なお,「自民党改憲案(2012年版)と現行憲法との対照」はこちらで見ることができます。


【自民党改憲案(2012年版)】
第二章 安全保障
(平和主義)
(国防軍)
第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる
4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

第九章 緊急事態
(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
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by gakis-room | 2013-05-03 18:00 | つれづれに | Trackback | Comments(4)
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Commented by saheizi-inokori at 2013-05-03 21:07
おっしゃる通りのまっとうなやり方ができないから後ろからこっそり空き巣みたいなことをするんですね。
私たちが、争点をはっきりさせる力があればいいのですが。
今朝の朝日、96条改正は憲法の予定している改正の枠組みをひっくり返す「革命」だという石川健治の論稿をお読みになりましたか。
私も96条改定はちゃぶ台返しだと思います。
Commented by gakis-room at 2013-05-04 08:04
saheiziさん,
読みましたが,正しく理解できているか自信がありません。
「96条改正を96条によって根拠付けるのは論理的に不可能」との部分は,どういうことなのか分かりませんでした。
全体として「憲法改正を提起して民意を得た者だけが憲法改正できる」と理解しましたが。
Commented by saheizi-inokori at 2013-05-04 10:31
96条は他の条文の改正の要件を定めているものであって、96条自体を改正することを予想していない、というような意味だと思います。これを改定しようということは憲法自体の否定、すなわち反逆=革命だということでしょう。
ナチスも結局ある種の革命でした。
憲法改正手続きの国際比較についての記事をリンクさせてください。
Commented by gakis-room at 2013-05-04 11:04
saheiziさん,
ということは,96条の改正は「憲法破棄」ということになると。
まさしく「革命」,ちゃぶ台返しですね。

リンクの件,どうぞ,どうぞ。


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