2012年 09月 11日
10日の厚生労働省の発表によると,今年度の地域別最低賃金(時給)の全国の加重平均は前年度に比べて12円増となりました。全国平均の引き上げ額が10円を超えたのは2年ぶりだそうです。 各都道府県の最低賃金は,中央最低賃金審議会の提示した引き上げの「目安」をもとに,都道府県最低賃金審議会(使用者委員,労働者委員,公益委員各5人,東京と大阪は各6人)で都道府県毎に決定されます。 7月下旬に中央最低賃金審議会が示した引き上げ額の「目安」は7円でしたから,全国平均で12円の引き上げはこれを上回ることになりました。37県で中央審議会の「目安」を超え,「目安」以下であった残りの9都道府県でも,東京,神奈川,広島を除いて「目安」の上限あるいはそれに近かったことはおそらくは異例のことかと思われます。使用者委員は「1円の値上げについても中小企業にとって死活の問題」と抵抗してきたこれまでの経緯を考えればなおさらのことです。 果たして中央がボンクラであったのか,地方が頑張ったのかは私には不明ですが,これで青森,埼玉,千葉,京都,兵庫の5県で生活保護水準を下回る「逆転現象」が解消されました。なお以下の6都道府県は依然として生活保護水準を下回っています。金額は時給換算での逆転分です。 北海道 16円 宮 城 9円 東 京 7円 神奈川 5円 広 島 3円 大 阪 1円 しかしです,最低賃金が生活保護水準を下回る都道府県が11から6に減少したからといってめでたいと言うわけではありません。最低賃金そのものの絶対額は余りにも低すぎます。1日の労働時間8時間,月労働日数22日として具体的な所得を考えてみます。 【全国平均の場合】 月収 749円×8時間×22日= 13万1,824円 年収 13万1,824円×12月 =158万1,888円 【東京都の場合】 月収 850円×8時間×22日= 14万9,600円 年収 14万9,600円×12月 =179万5,200円 【奈良県の場合】 月収 699円×8時間×22日= 12万3,024円 年収 12万3,024円×12月 =147万6,288円 実際の生活費となる可処分所得(消費支出)は,ここから所得税,社会保険等が差し引かれたものになります。おそらくはこの最低賃金の適用を受ける労働者のほとんどは非正規雇用であろうと思われます。そして,その非正規雇用者は,「社会実情データ図録」によると2012年では率にして35.1%,実人数では1,786万人(農林業を除く)です。 最低賃金法第5条では最低賃金の決定にあたっては「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」としていますが,何か空しさを感じます。生活保護に頼らない自助努力とは「労働意欲」が前提ですから。 ※表の水色のアミがけは生活保護水準を下回っている都道府県,黄色は解消した府県 ※「引き上げ額」蘭の赤字は中央最低審議会の「目安」を上回った県
by gakis-room
| 2012-09-11 17:00
| つれづれに
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