2012年 08月 12日
ロンドン ところで,オリンピックの中継にはいつも違和感がありました,それはアナウンサー,解説者の「○○してくれました」という言葉づかいに対してです。これは頻繁に使われていました。例えば 「すばらし闘志をみせてくれました」 「よくやってくれました」 というように。 このことはオリンピックに限らず,スポーツ中継全般に見られます。監督がその立ち位置から「選手はよくやってくれました」というのは違和感なく聞くことができます。しかし,アナウンサーなり,解説者なりにいわれると「あんたのためにやってんじゃないよ」と呟いてしまいます。 以下は手元の国語辞典です。 くれる ・新明解国語辞典 【他動詞】[人が話し手(の側)に物を]与える。 【補助動詞】話し手がそれを行為者の自分(の側)に対する好意的な動作だと感じていることを表す。 ・岩波国語辞典 【他動詞】①物を与える。やる。 ②[動詞連用形+「て」を受け]好意をもって……するの意。 つまり,「くれる」は,話し手(アナウンサー,解説者)に対する好意的な動作に対して使われる言葉です。いつ頃からこのような使い方がされるようになったのでしょうか。私の記憶では私が最初に「あれっ」と思ったのはWBCの韓国との決勝戦でイチローが勝ち越し点を打ったとき,「さすがイチローです,よく打ってくれました」と聞いたときでした。以来,私にはこの違和感が続いています。 違和感と言えば頻繁に使われる「勇気と感度」です。これも大抵は「勇気と感動を与えてくれました」というように使われます。選手の懸命さに私は何度も「感動」しましたが,「勇気」はいささかも与えられませんでした。さらに言えば,選手が「勇気と感動を与えたい」と言う時,私には傲慢さしか感じられません。これは私が貧相だからかもしれません
by gakis-room
| 2012-08-12 18:00
| つれづれに
|
Comments(2)
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saheizi-inokori at 2012-08-13 09:58
落語家はメダルを噛むことも出来ないし、「勇気や感動や希望を与えること」も出来ないのだ、と言った噺家が笑いを与えてくれました^^。
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gakis-room at 2012-08-13 13:26
saheiziさん,
saheiziさんのコメントが私に安心を与えてくれました。 |
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