2012年 08月 07日
きょうから立秋です。「暦の上ではきょうから立秋ですがまだまだ暑さは…」というのがきょうの天気予報,天候関連ニュースの定番ですが,奈良のきょうの最高気温は35.3度,今月なって4回目の「猛暑日」です。午後4時現在,「真夏日」の地点は504カ所,「猛暑日」の地点は72カ所です。 立秋は「二至二分による季節区分」です。立秋に限りませんが,二十四節気は旧暦とはまったく関係なく,地球から見た太陽の軌跡からの季節区分です。物の影が1番長くなる冬至と1番短くなる夏至が決められ,冬至と夏至の中間が春分と秋分です。そして,それぞれの中間が立春,立夏,立秋,立冬となります。 しかし,8月初旬と言えば暑さの盛りです。それなのになぜ,立秋なのでしょうか。以下は私の理解です。 二十四節気は古代中国で確立された暦法です。言うまでもなく,古代中国の王朝は周→東周(春秋・戦国時代)→秦→前漢→後漢→三国時代→南北朝→隋→唐と続きます。このうち,後漢と三国時代の呉と蜀,南朝を除けば,都は現在の西安市あるいはその付近にありました。そして,中国では暦法は皇帝の権威そのものでした。つまり,二十四節気は古代の都=皇帝の居住地であつた西安市(あるいはその付近)を基準とした気候区分ではないでしょうか。それで,西安市の気候を見てみました 以下は西安市の各月の平均最高気温です(ウィキペディア「西安市 気候」による,1971年〜2000年の平均)。 1月 4.8度 7月 32.1度 2月 8.3 8月 30.8 3月 13.9 9月 25.3 4月 21.0 10月 19.5 5月 26.1 11月 12.2 6月 31.2 12月 6.4 西安市のもっとも暑い月は京都,東京とは違って7月です。その暑さの盛りの7月を終えて8月ともなれば少し涼しさを感じるようになるのではないでしょうか。とすれば西安市では8月7日の立秋に違和感はなくなります。西安市の緯度は北緯34.2度ですから,おおよそ和歌山市と山口市を結ぶ線上に位置しますが,内陸の都市であり,しかも奈良や京都と同じように冬は寒く夏は暑い盆地(渭水盆地)にある都市です。平均最高気温でみると,立春(2月4日頃),立夏(5月6日頃),立冬(11月7日頃)にも違和感はなくなります。 西安市での季節感覚である用語を気候の違う日本でそのまま借用していることが,「きょうは立秋ですが…」の理由かと思われます。 【西安,京都,東京の平均最高気温】 西安は1971年〜2000年の平均,京都と東京は1981年〜2010年の平均です。
by gakis-room
| 2012-08-07 17:00
| つれづれに
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Comments(4)
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ハスキーボイス
at 2012-08-07 23:20
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立春が8月初旬である理由は、中国の暦法からの由来しているという考えもあるんですね。知りませんでした。日本では文化など様々な点で中国の影響を受けていますが、こんなところでも影響を受けていたんですね。
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saheizi-inokori at 2012-08-08 00:58
昼ごろは、か~っという暑い日が照りましたが日陰に入ると涼しい風があって立秋を実感しました。gakiさんのような客観的な論証とは違いますが。
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gakis-room at 2012-08-08 10:50
ハスキーボイスさん,
8月上旬なのになぜ立秋なのか,という疑問への私なりの納得の理由です。 中国の暦法は6世紀半ばに百済経由で日本にもたらされました。 ところで,暦法が渡来する以前はどうしていんでしょうか,新たな疑問です。
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gakis-room at 2012-08-08 10:57
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