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2012年 07月 07日
雨の日のよしなしごと,文部省唱歌「すずめのお宿」
雨の日のよしなしごと,文部省唱歌「すずめのお宿」_d0006690_817384.jpg昨日もきょうも断続的に雨が降っています。梅雨ですから。

時折,開けた窓から雀の鳴き声が聞こえたりします。それは雨が止む,あるいは止んでしまったことの合図のようです。そのせいでしょうか,このところ頭の中で「雀のお宿」が巡っています。

すずめ すずめ  お宿は どこだ
チチチ チチチ  こちらで ござる

おじいさん おいでなさい
ごちそう いたしましょう
お茶に お菓子  おみやげ つづら

さよなら 帰りましょう
ごきげん よろしゅう
来年の 春に またまた まいりましょう

文部省唱歌だからでしょうか,作者は不詳です。しかし,この歌の歌詞がちょっと気になっています。おそらくは「舌切り雀」が下敷きになっているのでしょうが,とすれば,雀は年若い女性(もしくは少女)です。

「こちらで ござる」,とても女性(少女)の言葉とは思えません。「おいでなさい」を含めて言えば,共にお爺さんに対して「上から目線」の言葉と思われます。また,次回はなぜ「来年の春」なんでしょうか。さらに加えて言えば,舌を切られた雀が言葉を発するのも不思議です。

「舌切り雀」についてまで言えば,小さな葛籠(つづら)とはいえ,おじいさんが持ち帰ったたくさんの金貨,それはお婆さんとの共有財産になるのでしょうが,それに満足しないおばあさんはまるで夫婦ではなく他人のようです。ちなみに太宰治の「お伽草紙」の中の「舌切雀」では,お爺さんが持ち帰ったものは,「稲穂」ひとつです。それでお婆さんは金貨を取りに行き,金貨の入った葛籠を背負ったまま,雪の中で絶命します。そして,おじいさんはこの金貨が資本(付け届け?)となったのでしょうか,一国の宰相にまで昇り,「雀大臣」と呼ばれます。

雨の続く日に浮かぶことは「よしなしごと」ばかりです。

※写真は葛飾北斎の「舌切すずめ」(ウィキペディアより),クリックすると拡大します。

by gakis-room | 2012-07-07 17:00 | つれづれに | Comments(4)
Commented by tona at 2012-07-08 09:10 x
今年もまた七夕は雨でした。旧暦ならそんなこともないでしょうね。
この文部省唱歌は出だししか覚えていませんでした。
葛飾北斎にこんな絵があるとは!
舌を切る鋏は握り鋏として描かれているのですね。
Commented by saheizi-inokori at 2012-07-08 10:13
なんとまあ、この噺のストーリーを忘れていました。
昔噺、結構忘れています。
ちちち、はチュンチュクチュンと覚えていました。
Commented by gakis-room at 2012-07-08 11:27
tonaさん,
昨日(7日)は旧暦では5月18日です。
旧暦7月7日は,今年は8月24日です。その頃であれば天の川もきれいかと。

北斎の絵はウィキペディアからお借りしました。無断借用になっていますので,出所を加えました。
Commented by gakis-room at 2012-07-08 11:32
saheiziさん,
昔噺は忘れていなくてもうる覚えの部分もありますね。
「チュンチュクチュン」,その方がいいようにも思います(笑)。


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