2011年 11月 18日
「意に反する苦役」とは物理的苦役だけなのでしょうか,最高裁判決への疑問
一昨日最高裁大法廷は15人全員一致で「裁判員制度は合憲」との判断をしました。

私が裁判員を拒否する理由は,裁判員制度は合憲という東京高裁判決に関する記事でも書いたように以下の2点です。

 1 裁判員を国民の義務とする法的根拠がない
 2 裁判員の守秘義務は憲法18条の「その意に反する苦役に服させられない」に抵触する疑いがある

「守秘義務とその意に反する苦役」に付いて言えば,最高裁判決はやはり納得しかねる判断です。私には最高裁判決は東京高裁判決同様に見当違いな所論のように思われます。読売新聞の「最高裁判決要旨」によれば以下の通りです。

憲法18条後段 国民を意に反する苦役に服させるとの主張について
  裁判員の職務は司法権の行使に対する国民の参加という点で参政権と同様の権限を付与するもので,同法が辞退に
  関し柔軟な制度を設けていることも考慮すれば,「苦役」に当たらないことは明らかである。


裁判員になる義務は参政権と同様な国民の権利といっていますが,これはごまかしです。参政権の放棄には,その政治的・道義的意味はともかくとして,何らの罰則もありません。「裁判員になることを拒否」は「10万円以下の過料」です。そして,裁判員としての守秘義務違反は「6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則付きです。

また,柔軟な制度で辞退できるから,苦役ではないとしていますが,その柔軟な制度とは何でしょう。最高裁のホームページ「裁判員制度」によれば,辞退できる「一定の止むを得ない理由」として以下を挙げています。

 ・重い病気又はケガ
 ・親族・同居人の介護・養育
 ・事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある。
 ・父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務がある。
 ・妊娠中又は出産の日から8週間を経過していない。
 ・重い病気又はケガの治療を受ける親族・同居人の通院・入退院に付き添う必要がある。
 ・妻・娘の出産に立ち会い,又はこれに伴う入退院に付き添う必要がある。
 ・住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり,裁判所に行くことが困難である。

つまり,最高裁は苦役を物理的にのみ考えて,裁判員として出廷することを苦役と考えています。私のような「守秘義務は意に反する苦役」とする精神的苦役は「裁判員辞退」の理由とは認められないようです。どこが柔軟なのでしょうか。
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by gakis-room | 2011-11-18 11:18 | つれづれに | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2011-11-18 14:09
最高裁判事の全てが同意見というのにも呆れます。暗黒です。
Commented by gakis-room at 2011-11-18 15:08
saheiziさん,
裁判員制度の合作者ですから,合憲は分かっていましたが,このような立論に全員賛成とはねえ。


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