2010年 08月 08日
728円
d0006690_19342124.jpg6日の新聞報道によると,厚生労働省の中央最低賃金審議会は今年度の最低賃金(時給)の引き上げの目安を決めました。それによると,全国をA〜Dの4ランクに分けていますが,いずれも一律10円の引き上げです。ただし,最低賃金が生活保護基準の時給換算を下回っている(逆転現象の)12都道府県については表のように10円〜30円の引き上げです。

その結果,全国の加重平均では713円から15円引き上げられ,728円になりました。これは08年と並んで過去最高だそうです。また,Dランクの引き上げ額もこれまでの最高額の7円から10円になりました。この結果をもとに,9月に各都道府県の最低賃金審議会で地域別最低賃金が決定され,10月には発効します。

しかし,何とも淋しいニュースです。6月の労使代表による「雇用戦略対話」の合意では「できるだけ早期に全国最低800円以上,2020年までには全国平均1000円」でありました。

現在の地域最低賃金が1番低いのは佐賀,長崎,宮崎,沖縄の629円ですから,過去最高の引き上げによっても800円にはほど遠い639円です。また,生活保護基準との逆転現象が解消されるのは12都道府県の内4県でしかなく,残りの8都道府県は逆転現象の解消11年以降に持ち越されました。

全国加重平均の728円とはどの様な生活でしょうか。1日8時間,月22日労働日で計算してみます。
  月収  728円×8時間×22日=12万8128円
  年収  12万8128円×12月=153万7536円

時給800円で,1日8時間,月22日労働日で計算してみます。
  月収  800円×8時間×22日=14万8000円
  年収  14万8000円×12月=177万6000円

これが「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(憲法25条)国民に対するこの国の施策です。中央最低審議会の決定に対して日本商工会議所の岡村正会頭は「小規模企業の半数は10円あげると経営に影響が出る。大幅引き上げは雇用喪失につながる」との談話を出しているようです(朝日新聞,8月6日朝刊)。

岡村正という人がどの様な人かは知りませんが(実は元東芝会長),日本商工会議所では内部留保をため込む大企業による下請け,孫請けへの圧迫などはこの国にはないかのような素振りです。年収154万円の生活を強いる経営感覚とはなになのでしょうか。

それで思い出しました。政権投げ出しの元祖,安倍内閣時の「規制改革会議 再チャレンジワーキンググループ・労働タスクフォース」がまとめた「脱格差と活力をもたらす労働市場へ−労働法制の抜本的見直しを」です。今後の「労働法制の抜本的見直し」として以下を第1にあげていました。

不用意に最低賃金を引き上げる→その賃金に見合 う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし,そのような人々の生活をかえって困 窮させることにつながる

その時,私はそれを「174年前への回帰願望」として,記事にしました。
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by gakis-room | 2010-08-08 07:06 | つれづれに | Comments(4)
Commented by saheizi-inokori at 2010-08-08 09:51
資本家=悪という刷り込まれた記憶が活性化します。
Commented by gakis-room at 2010-08-08 15:13
saheiziさん,
経営者にも政治家にも,彼の拠ってたつ哲学がなくなってしまったかのようですね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-08-08 18:57
労働政治家も然りかもしれないですね。
Commented by gakis-room at 2010-08-08 20:11
saheiziさん,
己の存在をかけて,という志の高さにはめったと出会わなくなりました。かくいう私もそうですが…。


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